れですも色々

癌6 最初の手術

*ここの描写には食事時に向かないものがあります

ちょっと大掛かりといっても検査手術なので、てっきり部分麻酔かと思っていたが全身麻酔だと聞かされた。

入院するにあたって担当医に「これだけは言いたいということはありますか」と聞かれ

何でもいいから痛い思いはしたくないのと、できれば抗がん剤は使わないで欲しい

とお願いした。

「まあその時はその時でまた話し合おう」と担当医は言い、「他に何か漢方とか民間の薬は使ってる?」と言ってきたので

いわしの頭は信心しませんから

と答え、お互い大笑いしてその話は済んだ。

今回の手術は精々2時間もあれば済む。
それでも万が一に備え、近親者は病院で待機させられる。
平日昼間に本当に気の毒。

予備麻酔を打たれ、ストレッチャーに乗せられて手術室へ。

手術室は小さめで何やらカメラのようなものが置いてあった。
術着を着ると見違えるように格好いい担当医が現れた。

せんせ~、すんげえ格好いいよぉ

「顔見えないからな」

そりもある。

「ひでえなあ」

他の医者が現れるまでおしゃべりしていたが「そろそろ眠ってもらうよ~」
の「~」の部分が聞こえないほどあっさり眠りについた。

目が覚めると病棟詰め所のすぐ近くの回復室だった。

何時だろ。

下半身がどうもごしょごしょするのはオムツだろうか。
口元にある酸素吸入のノズルが邪魔くさい。
取ってしまったら間髪入れず看護婦が来てまたはめられた。

#赤外線カメラで監視している

腰の鈍い重さと痛さはあるけれど大した事ない。

それより何より。

お腹空いた(;´Д`)

報告を聞いたのだろう、医者が2人来た。

「どうだ?」

生きてる。

「わっはっは」

せんせ~、お腹空いた。タバコ吸いたい

「ここでタバコ吸うと爆発するぞ」

知ってますっ。起き上がってもいい?

「ゆっくりならいいぞ。だけどタバコ吸うと多分ひっくり返るぞ」

んじゃご飯食べに立てるならついでにタバコ吸ってみる

#誤解のないように言っておくが、医者は勿論入院前にタバコの害について懇切丁寧に説明してくれた。
全身麻酔の後、タンがからまって苦しむぞとも
でも今これを止めたらストレスが溜まるばかり。
これだけは目をつぶってと頼んだ。

ゆっくりと起き上がってみる。
肘下の点滴やら小水の管やら背中の痛み止めの管がからまって何がなにやら。

を、大丈夫。

思いっきり手術用寝巻きがはだけているのだけれど、うまく直せないし。

そーっと足を床につけて少しずつ体重をかけてみると、立てそうだ。
寝巻きを直し、重い点滴台をごろごろ引きずりながら仲間がいる喫煙所へ。


「おー。なんだなんだ病人みたいだな」
「病気か」

と癌仲間に冷やかされたが、買っておいた缶コーヒーを飲みながら一服。

・・・している間に猛烈に痛みが・・・

いてて。

やっぱり戻るわ。

すごすごと回復室に戻ったが、その日のうちに元の病室に帰してくれた。

その晩のご飯はおかゆだったが、あくる朝にはもう普通のご飯が出た。
#消化器系統はいじってないのでね

普通なら大体10日~2週間いて、その間に手術で採取した組織を調べるという段取り。

ところが。

傷の治り自体は全く問題なかったが、やはり何かの薬が合わなかったらしい。

手術の翌日くらいから猛烈な下痢が始まった。
腸が動くせいか腰まで痛い。
腰の骨が割れるような痛さ。

病院としてはまず疑うのは伝染性の細菌やウィルスだったりするので、超特急で色々検査。

そっちは大丈夫だった。

後疑わしいのはやはり薬。

といっても手術直後なので止める訳にもゆかない薬ばかりだろう。

しかも腰が痛くて唸っているので痛み止めも処方しなければならない・・・という医者泣かせ。

ごめんにょ、面倒くさい体質で。

念のためにMRIやCTも入って調べたが、やはり下痢の原因は判らず。

これの為に本当なら退院後に連絡される細胞診の結果を病院で聞くことになった。

いつになく真面目な顔の担当医。
「結果が出たよ」
たちの悪い細胞が多くはないがあったという。

んじゃ全部摘出だね。
先生はどう思う?

「俺もそれがいいと思う。」

じゃあ決まり。
取ってしまえば少なくとも二度と子宮ガンにはならないし

卵巣は?

「普通、あなたの年齢では取らないよ」

取らない場合とここで取ってしまった場合のリスクは?

「それはやっぱり一度こうして癌になっているから、他の人に比べれば遥かに卵巣がんになる確率は高いとは思うけれど。
だけど卵巣っていうのはやっぱりあった方がいいんだよ。
ここで取ってしまうと、今度は乳がんとかの確率がね」

にゃるほろ。
現時点では乳房に腫瘤があるんだから、癌になる可能性は胸が先だもんね。

いや、お任せしますわ。
次の手術だって開けてみないと判らない部分もあるだろうし。

でもできれば一度退院して、もう一回入院、手術の方がいいなあ。

「それくらいなら何とかできるよ。でも精々1週間だけど」

という事で一旦ここで退院しました。

下痢は思い切って止めた抗生物質が主な原因だったらしく、まあまあ治まっていました。
先生も今度の大きな手術に向けて、他の薬を当たってみると言っていましたし。

弱くでしたがまだ出血があるので激しい運動はしないようにと言われましたが。


















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